平成27年度「進路の手引き」巻頭言を参考に掲載いたします。
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『ひとつ上の高みをめざして』
校長 吉岡 宏
スティーブン・R・コヴィーという人の書いた「7つの習慣」という本があります。ビジネス書と言われるジャンルの本ですが、「人生論」を扱ったものとして話題になりましたので、読んだことがある人もいるかもしれません。
その本のなかで、著者は「終わりを思い描くことから始める」ということを私たちが身につけるべき習慣の一つとして挙げています。人間の行動はすべて、まず到達点を思い描くことから始まるのだと彼は言います。例えば、家を建てる時の設計図がそれにあたります。設計図もなしに家を建て始めたとしたら、バランスのとれた堅牢で住み心地の良い家はとても完成しないでしょう。私たちが何らかの行動をとるときも、同じように設計図を描く、つまり、「終わり」を思い描くことが必要です。到達点があって、初めて進むべき方向が見えてくるのです。
次に必要なのは、その到達点にたどり着くための計画づくりです。家づくりにも多くのプロセスが必要です。どんな材料がいつまでに、どれだけ必要か、どんな作業をしなければいけないのか。到達点を思い描いたら、そこに至るまでのステップを書き出して、計画をたてなければいけません。そして、その計画を日々実行していくのです。
皆さんは、今、高校生として、自分の人生の設計図を描いていくべき時期を迎えています。しっかりと自分の到達点を思い描き、計画をたてて自分の進路を実現してもらいたいと思います。
さて、皆さんが進路を決定するうえで心がけてほしいことがあります。
第一は、「夢の実現のために、今、手が届くところよりも一つ上の高みをめざす」ということです。現状に満足してしまうと、人は努力を忘れます。そうすると、現状維持どころか、後退してしまうことさえあるのです。「一つ上」をめざしましょう。
そして、一つ上の目標を定めたら、それを実現するための「ワンランク上の計画を立てる」ことです。今と同じことをしていたら、決して「一つ上の高み」にはたどり着けません。「ワンランク上の計画」を毎日実行して初めて目標が達成できるのです。
最後に、「同じ目標を持つ仲間を作る」ことを薦めます。「一つ上」の努力を毎日続けていると、つらくなったり、不安になったりすることがあります。そんな時、同じ目標を持つ仲間がいたら、大きな支えになってくれることでしょう。
この「進路の手引き」には、就職や進学の仕組みや手続き、過去のデータなど、大切な情報が詰まっています。皆さんの進路決定にしっかりと活用してもらえることを期待しています。
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